搬送用酸素ボンベ計算
要旨
患者を搬送するとき、酸素ボンベを何本持っていけば足りるかを求める計算ツールである。人工呼吸器(IPPV・NPPV)、ハイフロー(NHF)、酸素投与のいずれかを選び、設定値と搬送予定時間を入れると、必要な本数と、満タンのボンベ1本が何分もつかが表示される。
求め方は、まず1分あたりに流れるガスの量を出し、そのうち酸素ボンベから出る分を設定した酸素濃度から割り出す。これに搬送時間と安全係数を掛けた量を、ボンベ1本から使える量で割って本数とする。ボンベ1本から使える量は、容器の大きさと圧力から求める。
特定の機種の数値は使っていない。機種ごとに異なる値(ベースフロー、駆動ガスの消費量、リークの表示の仕方)は、取扱説明書を見て使用者が入れる形にしてある。
スマートフォンでは、結果が入力欄の下に表示される。結果を画面の下に固定して見ながら入力したい場合は、ツールだけを全画面で開く。
計算の流れ
1. 総流量(患者側へ出るガスの量)
| モード | 総流量 |
|---|---|
| IPPV | 1回換気量 × 呼吸回数 + 追加流量(リークなど)+ ベースフロー |
| NPPV | 1回換気量 × 呼吸回数 + トータルリーク |
| NHF | 設定流量 |
| 酸素投与(酸素ボンベのみ) | 酸素流量 |
| 酸素投与(酸素+空気ボンベ) | 総流量(酸素+空気) |
IPPV・NPPV・NHF は、室内空気を取り込むタービン式・ブロワ式の装置を前提とする。総流量のうち空気で足りる分は室内空気でまかなわれ、ボンベから出るのは酸素濃度を上げる分だけとなる。
IPPV のベースフローは、呼吸の全期間に流れるものとして足している。呼気中だけ流す機種では、実際より多めの値になる。
NPPV のトータルリークは、呼気ポートからの意図したリークと、マスク周りの意図しないリークの合計である。呼吸器が意図しないリークだけを表示する機種では、その値に呼気ポートの流量(使用する圧での値。マスクや呼気ポートの取扱説明書に載っている)を足して入れる。表示値をそのまま入れると、酸素消費量は実際より少なく出る。
2. 酸素消費量
空気の酸素濃度を 21% とし、酸素(100%)と空気(21%)を混ぜて設定濃度にするときの酸素の割合を使う。
- 酸素消費量 = 総流量 ×(設定濃度 − 21)÷ 79 + 駆動ガス分
- 駆動ガス分は、ガス駆動の IPPV で値を入れた場合だけ足す
- 酸素投与で酸素ボンベのみのときは、総流量の全量が酸素となる
- 酸素+空気ボンベのときは、空気消費量 = 総流量 ×(100 − 設定濃度)÷ 79 として、空気ボンベも同じ手順で計算する
3. ボンベ1本の使用可能量
- 使用可能量 = 容器内容積(L)×(充填圧 − 交換する圧)(MPa)× 10
1 MPa をおよそ 10 気圧とみなし、圧力に比例して大気圧下の体積に直している。温度の変化と、高圧での気体の圧縮率のずれは考えない。500 L ボンベ(内容積 3.4 L)を満タンの 14.7 MPa から 1.0 MPa まで使う場合、使用可能量は 466 L となる。
4. 本数と時間
- 必要量 = 酸素消費量 × 搬送予定時間 × 安全係数
- 本数 = 必要量 ÷ 使用可能量 を切り上げた数(酸素を使う場合は最低1本)
- 満タン1本の持続時間 = 使用可能量 ÷ 酸素消費量
- 計画時間/本 = 使用可能量 ÷(酸素消費量 × 安全係数)
計算例として、初期値(IPPV、1回換気量 450 mL、呼吸回数 15 回/分、ベースフロー 3 L/分、FiO₂ 60%、搬送 30 分、安全係数 2.0、500 L ボンベ満タン)では、総流量 9.75 L/分、酸素消費量 4.81 L/分、必要量 289 L となり、本数は1本、満タン1本の持続時間は 96 分となる。
表示される注意
- FiO₂(または設定酸素濃度)が 21〜100% の範囲にない
- 充填圧が交換する圧以下で、使える量がない
- 充填圧が 14.7 MPa を超えている
- 最後の1本を 85% を超えて使う計算になっている(時間が延びたときの余裕が少ない)
- FiO₂ 21% で駆動ガスもなく、酸素を使わない
前提と仕様
- ボンベの規格は国内のもの(充填圧 14.7 MPa、500 L ボンベ=内容積 3.4 L、1,500 L ボンベ=内容積 10 L)を初期値とする。内容積と圧力は書き換えられる
- 安全係数 2.0、交換する圧 1.0 MPa、最後の1本を 85% を超えて使うときの注意は、初期値として置いた値であり、標準値や推奨値ではない。施設の基準や搬送の条件に合わせて変える
- 入力値は保存しない。共用の端末で前の人の値が残らないようにするためである
- 計算はすべてブラウザの中で行い、入力値はどこにも送信しない
- 計算結果は目安である。実際の消費量は機種、設定、回路、リーク、患者の状態によって変わる
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